タンパク質の品質管理 Tycho NT.6

試料中のタンパク質の立体構造が損なわれず安定に存在しているかを、わずか3分間の測定で判定できます。
タンパク質の熱変性曲線を迅速に取得して変曲点温度Tiを自動決定し、熱変性プロファイルとTi値から試料間の差異を判定できます。また、リガンドとタンパク質の結合によるTi値の変化を指標に、タンパク質相互作用のチェック、リガンドのスクリーニング用途にも利用できます。

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特徴

  • ◆ 加熱によるタンパク分子のアンフォールディングに伴う分子内トリプトファン残基由来の自家蛍光のピークシフトを、330nmと350nmの二波長で検出します。各波長の蛍光強度、二波長の蛍光強度の比を温度に対してプロットし、下図の熱変性プロファイルをリアルタイムで表示します。測定終了後、熱変性プロファイルの変曲点温度Tiを自動決定します。



測定開始時のInitial ratio値と測定終了後に得られるΔratioの値は、試料中のアンフォールディングしたタンパク質存在量の指標として利用できます。Ti値はタンパク質の熱安定性比較に利用できます。

◆ 熱変性プロファイルから、精製バッチ間や保存前後の試料の同一性(Similarity)バッファー組成の違いによるタンパク質安定性変化(Stability)、レセプター分子のリガンド結合能や抗体の標的結合能(Functionality)がわかります。

  • ◆ 独自のnanoDSF技術によって、キャピラリーを利用する1回の測定に必要な試料は10μlで、貴重なサンプルのほとんどを本来のアッセイにご利用いただけます。タンパク質の標識不要でバッファー条件も制限が無いため、透析など前処理不要で本来のアッセイ用試料そのままで測定できます。
  • ◆ 最大6サンプルまで一度に測定できます。
  • ◆ キャリブレーション、メンテナンス不要でウォーミングアップ時間もないため、すぐに測定開始できます。試料濃度に合わせて自動で励起光強度を調整するため、スタートボタンを押すだけの簡単操作です。
  • ◆ タッチパネル式でPC不要。データはUSBでTychoから取り出しできます。

アプリケーション

1. 抗体試料の品質評価(タンパク試料の品質チェック)

Tychoによるタンパク試料品質チェックのモデル実験では、同一抗体試料から酸化剤未処理(緑色)、3時間処理(水色)、18時間処理(紫色)の3種類を用意しました。Tychoの解析結果から、未処理の試料に比べinitial ratio値が高いことは、酸化処理によってアンフォールドした分子の存在量が増えていることを示します。またTi値が低下することは、不安定化していることを示します。アンフォールドした分子が増え、安定性が低下した試料ではKd値で評価した標的結合能も低下しており、Tychoの結果から、試料の品質と機能性の予測が可能なことを示しています。

2. 標識不要なサーマルシフトアッセイ(相互作用解析)

サーマルシフトはタンパク質の機能性に関する情報と、タンパク質とリガンドの結合の指標として利用できます。左図のp38キナーゼのTi値の高温側へのシフトは、Mg2+イオンの存在によって安定性が増し、より安定した機能性が期待できます。右図のように低分子化合物存在下でのTi値の上昇は相互作用の結果と考えられ、Ti値を指標にリガンドのスクリーニング、相互作用有無の確認に利用できます。
Tychoはこのようなサーマルシフトアッセイを蛍光色素不要、どのようなバッファー溶液でも行えます。

3. 多量体タンパク質の構造完全性のチェック

ドラッグデリバリーツールとして注目されているウイルス様粒子(VLP)は多量体タンパク質です。何らかの理由で解離したVLPは不安定になるため、Ti値の比較で精製バッチごとにVLPの構造完全性を調べることができます。

ユーザーの声

Tycho NT.6はすぐに私たち研究室メンバーに受け入れられ、以前には検出されなかった重要な品質情報を提供しています。将来これはタンパク質生化学に取り組む全ての人にとって、標準のツールとなるでしょう。
Tycho NT.6 was adopted by all our lab members in no time, providing crucial quality information not detected before. It will become a standard tool for everyone working on protein biochemistry.
Dr. Gregor Witte, Principal Investigator, K.P. Hopfner lab, Ludwig Maximilians University of Munich

仕様

外寸、重量
・31cm(W)×37cm(H)×18cm(D)、6.6kg(Tycho本体のみ)
・35.5cm(W)×37cm(H)×21.5cm(D)、7.4kg(キャピラリーステーション、電源ホルダー含む)

動作環境
12VDC, 4A(ACアダプター使用:入力96V-240VAC, 47-63Hz, 230VMAX)
室内温度 15℃ー30℃

測定時間
約3分

測定温度範囲
35℃-95℃

温度勾配
30℃/min

測定可能濃度範囲
10μg/ml~>200mg/ml (IgGの場合)

1測定内での試料間濃度差の許容範囲
500倍(IgGの場合)

アプリケーションノート