サンガーシーケンシングのための消耗品ガイド

はじめに
サンガーシーケンシングは、過去40年間、ゴールドスタンダードとして遺伝子変異解析、de novoシーケンス、次世代シーケンス(NGS)の確認、NGSのギャップフィリングなどに使用されてきました。
成熟した技術として、サンガーシーケンスは現在もDNAシーケンスの分野で重要な役割を担っています。

DNAシーケンスの流れ

STEP 1. テンプレート調製

シーケンシング反応を成功させるためには、高品質なテンプレートとプライマーの準備が必要です。
PCRテンプレートでは、適切な試薬で条件を最適化する必要があるとともに、dNTPS、プライマー、DNAポリメラーゼを除去するために精製やクリーンアップする必要があります。
これらの不要物質が残ることで、最適なシーケンス反応条件を乱し、反応が阻害される可能性があります。

【PCR産物精製】関連製品

 おすすめ

PrimePrepキット
シンプルで迅速、かつ費用対効果の高いスピンカラム方式のキットです。

EnzSAP
PCR後の溶液に加えてインキュベーションするだけの簡単な操作で精製します。

QuickStep 2
不純物吸着レジン(SOPE2レジン)と、ゲルろ過スピンカラムを組み合わせたユニークなキットです。

STEP 2. サイクルシーケンシング反応セットアップ

プライマーとテンプレートを用いて直線的に増幅し、長さの異なる蛍光ラベル付き伸長産物を産生します。
通常のサイクルシーケンスキットでは、キャピラリー電気泳動でのピーク圧縮を抑えるために、dGTPの代わりにdITPが使用されます。しかし、高G-テンプレート(GTまたはGC)の場合、シーケンス性能を最適化するために、dITPはdGTPに置き換えられる、dGTPキットの使用が推奨されます。

【シーケンシング反応】関連製品

 
売れてます

SupreDye
Applied BiosystemsⓇジェネティックアナライザーでご利用できる、ダイターミネーターサイクルシーケンシングキットです。 V1.1とv3.1の2つのケミストリーがあり、high G-テンプレート(GTまたはGC)の場合にご利用いただけるdGTPキットのご用意もあります。

反応希釈液
5X Sequencing Bufferは、 SupreDyeやBigDye Terminator等のダイターミネーターミックス希釈液として使用でき、シーケンスの精度や読み取りの長さに影響を与えずにシーケンスコストを削減できます。

STEP 3. シーケンシング精製

終了したシーケンシング反応のクリーンアップを行い、標識済み伸長産物から、取り込まれていない色素やその他の成分を除去します。
遊離ddNTP色素の除去が正しく行われないと、ピーク分離や配列の読み取りに支障をきたすことがあります。
シーケンシング反応のクリーンアップには以下のような幾つかの方法があります。

①サイズ排除クロマトグラフィーを原理としたスピンカラム方式
②専用試薬を添加し攪拌、遠心することで不要物質を除去
③伸長したDNAをエタノール沈殿させることによって不要物質を除去
④磁気ビーズクリーンアップ

シーケンス反応精製方法の比較

                                                                                                                      
方式 手順の簡便さ 自動化対応 スピード コスト 必要設備
①サイズ排除クロマトグラフィー
(スピンカラム方式)

(96wellフォーマットのみ分注機に対応可
汎用実験器具
②専用試薬を添加し攪拌と遠心
×
プレート用ボルテックスミキサー
③エタノール沈殿
×
×
×
汎用実験器具
④磁気ビーズ
マグネットセパレーター

【シーケンシング反応精製】関連製品

                 
 おすすめ
①サイズ排除クロマトグラフィー

スピンカラム
シングルチューブカラム、ストリッププレート(8wellストリップ×12)、96ウェルプレートの形状があり、1回に処理が必要なサンプル数に合わせて選択可能です。
EdgeBio製品の利点
膨潤済みゲルのためすぐに使用できます。
②試薬を添加し攪拌と遠心 SupreDye XT SupreDye™およびBigDye®ケミストリーで得られた産物から、取り込まれなかった蛍光色素やその他の不純物を効率的に除去します。
③磁気ビーズ 磁気ビーズ SupreDye™およびBigDye®ケミストリーに最適化され、従来製品よりも洗浄ステップを省いた磁気ビーズです。

STEP 4. サンプルローディングとキャピラリー電気泳動

シーケンサー反応物をクリーンアップまたは精製した後、キャピラリーシーケンサーにロードすることができます。
精製方法や使用した製品によって、サンプルをそのままロードできる場合と、ロード前に水/バッファーまたはホルムアミドに再懸濁する必要がある場合があります。
エタノール沈殿で精製したシーケンス反応物は、シグナル強度と安定性を最適化するために、脱イオンしたホルムアミドに再懸濁されることが多いです。
キャピラリーシーケンサーの分離マトリックスとしてのポリマーは、伸長産物を効果的に分離するために重要な要素です。高品質のポリマーを選択することで、シグナル強度、ピーク高さ、スペースが均一なトレースを得ることができ、正確なベースコールとロングリードが可能となります。

【ポリマー/ 泳動バッファー 】関連製品

    
売れてます
ポリマー
PwrPOP™
ABI Genetic Analyzer 各モデルでご利用可能なポリマーです。 アナライザーの設定、キャリブレーションの変更なしにご利用いただけます。PwrPOP-4, PwrPOP-6, PwrPOP-7製品をご用意しております。
泳動バッファー
10xRunning buffer
ABI Genetic Analyzer 310/3100、3130/3130xl、3730/3730xlにてご使用いただけます。

オプション. キャピラリーメンテナンス

DNAシーケンサーのキャピラリーアレイは消耗品であり、交換することが必要になる製品です。
ある程度の回数、シーケンサーを稼働させると、キャピラリーアレイに汚れが蓄積し、ピークがうまく分離されなくなります。
このような汚れたアレイは、ピークの広がり、ピークの遅れ、ピーク間のスペースの変化を引き起こし、その結果ピークの読み取り精度と長さが低下します。
装置メンテナンスの補助的なワークフローとして、キャピラリークリーニングを行うことで数百回の稼働後にアレイに蓄積したコンタミを除去することができます。

【キャピラリーメンテナンス】関連製品


キャピラリー
クリーニングキット
キャピラリーアレイをクリーニングして、ポリマーの性能を発揮できるようにします。ABIジェネティックアナライザー3130および3730シリーズに対応しています。